ダンジョン飯備忘録(と少しだけ考察):その3(単行本9巻)
この記事何?
思考を整理するために、『ダンジョン飯』9巻の内容についてひたすら記録や他愛もない感想をつけていく記事です。
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基本的には「備忘録」ですが、Part1,2とは異なり、単行本9巻の内容を扱うこのPart3では、少しだけ踏み込んだ考察めいたテキストも書いています。
これから読みたいって人にはネタバレしかないので注意してください。
第57話「兜煮」
ライオスとマルシルの出会い。マルシル加入エピソード。
エルフという種族と、マルシル
- マルシルの加入に対して、チルチャック、シュロー、ナマリ、 みんな微妙なリアクション。女だってのは抜きにして、なんでエルフは歓迎されないのかな……
- 魔術学校の学生の比率が
(ノーム):(トールマン):(それ以外)=3:5:2
であることが判明。エルフは西方に多く、魔術学校には少ないとのこと。なんでマルシルが魔術学校にいるのかは一応説明があったが、本当のところは濁した感じがして、よく分からないまま。
迷宮について
- 「生きてる迷宮と死んでる迷宮」
「うわすごい 迷宮内だとこんな威力になるんだ」(18頁)
- 迷宮内では魔術の威力が上がる……? これも狂乱の魔術師がかけた増幅的な術によるものなのか。
第58話「サキュバス -1-」・第59話「サキュバス -2-」
パーティーメンバーに自分の性癖バレるの嫌すぎる。
マルシルの趣味
「ヒュッ」ってリアクションがちょっとオタクっぽい。美系、ロマンス系が好きなのかな……
イヅツミについて
- せっせと他のメンバーを介抱するの、なんかライオス隊のメンバーとして(本人は別に力を必要としていなくても)助けてやるかって気持ちになっている状況がとてもよかった(小並感
- 自分の有様を肯定するような心情に一時的にでもなれたこと、個人的にとてもよかった。
魔物の成り立ちについて
「人が想像で作り上げた伝承上の存在――の筈が、後からよく似た魔物が発見されるのは不思議だな」(95頁)
これは非常に興味深い点だと思います。
悪魔の「サキュバス」という概念があり、それに類似した「サキュバス・モスキュート」という魔物が後から見つかる。この問題の真相は魔物、引いては迷宮がどのようにして定義づけされているか、という根幹でもあります。
狂乱の魔術師が魔物を全て定義している、とはあまり思わないのですが(それならもっと効率よく守ることに特化した魔物を配置するはず)、この辺りはいつか分かるのでしょうか。
第60話「有翼の獅子」
ライオスに語り掛ける有翼の獅子。ライオスに対して「迷宮の王」になるように勧めるが……
有翼の獅子について
私はただの”力”だ 迷宮の主の願いを叶えるための(114頁)
第61話「焼き歩き茸」
カブル―を保護していたエルフ、まあ彼女からしたら短命種族の子供だから余計に弱い存在に思えてかわいいのかな。母性が凄い。傷だらけなのとか剣に覚えがあるところはカナリア隊の一員ゆえなのでしょう。
第62話「6日間」
明かされるミスルンの過去。ついに迷宮の作り手についての情報がドバドバと……
迷宮の主となったミスルンとヤギ
- ミスルンは貴族の子弟枠でカナリア隊に入隊した。
- ある日カナリア隊の一隊員として訪れた迷宮の底の鏡に心の隙間を衝かれ、怒りに任せて割った鏡から現れたヤギに向かって、ifを「欲して」しまう。
- キリスト教でのヤギというと、マタイ伝で羊(救われる善良な人間)と対比して悪の象徴、救われない人間に擬される話が出てきます。邪悪の象徴なんですね。
ミスルンの話
長くてやたら複雑なのはエルフが長命種ゆえなのでしょう。短命種よりも一つの物事に費やす時間が長いとそうなる……
ミスルンの今の状態について
第60話「シェイプシフター」で、ミスルン→カブル―のビジョンが解像度低すぎて笑えましたけど、あれはミスルンが空っぽの人間であることも反映していた、と考えるのはやりすぎかな。他人への観察が得意なカブルーにすら
「なんか妙に人となりに興味がわかない 頭でも打ったかな」(137頁)
と言われているのも同様の理由によるものなのかも。
悪魔と迷宮について
- 古代魔術が無限を取り出す力、というのはかつてマルシルが述べていましたが、古代人が異次元と門を繋げたことが悪魔を招いたという事実を、彼女は知っているのでしょうか。
「悪魔は人間の欲望を好んだ」
「彼らは無力だが人間の欲望を食うことで力を得る」
「欲望を全て食われた者は衰弱死した」(188頁)
- 狂乱の魔術師、シスルはこれを警戒して有翼の獅子を封印した……のか?
- ミスルンが食い残されたのは「悪魔への復讐」が悪魔にとって不要な欲望だったからなのだろうか。
古代人は(中略)悪魔が自由に門を通ってこないよう迷宮を作った
- 迷宮は古代人の遺物。古代人は悪魔に欲望を与え続けて滅びた。
- 迷宮の悪魔は、迷宮の主の欲望を育てて食い、力を得て地上に出ようとしている。
いったんこの迷宮について整理
なんか混乱してきたので現状分かっていることをいったん整理。
- 作り出したのは、有翼の獅子。悪魔と呼ばれる、異界から来た存在。彼に迷宮を作り出すように依頼したのが狂乱の魔術師、シスル。
→ライオスたちは、自分たちが封印を解こうとしているものの正体が悪魔であることは知らない。
→一方でカブル―は、ライオスが「狂乱の魔術師を倒そうとしている」ことは知っているが、有翼の獅子を解放しようとしていることは知らない。
- できてからだいたい千年くらいは経ってる
- いくつかの規則がある。
「人の魂を肉体に束縛する」……これは狂乱の魔術師の魔術によるもの。
「魔物は、黄金郷の住人を傷つけない」……これは狂乱の魔術師が望んだもの。「魔物は完全に消化されたら復活しない」……これはなんか狂乱の魔術師が望んで作った規則ではなさそうなので、もしかしたら迷宮共通の仕様なのかもしれない。 - 第54話の扉絵で語られていた迷宮の進行度合いに照らすと、魔物が爆発的に溢れ出す前段階まで来ている。
感想
- Part3の今回で単行本未収録部分までやろうと思ったけど、まあ単行本派の人がここを読んだときのことを考えたら、いったん9巻までで切った方が親切かなとなり、分けることにしました。
- 狂乱の魔術師がヤバい感じだったおかげで、そいつに封印された有翼の獅子は善良なキャラなのかなとか思ってたんですが、第62話読むと俄かに一番ヤバいのお前やんけってなりますよね。そんなのの封印を解いて大丈夫なのか。
- 一方で翼獅子はヤアドたち黄金郷の住人に予言を与え、守り神と言われている。ヤギに象徴されるような一般的な「悪魔」とは異なる方向の存在なのかもしれない。
- 俺もサキュバスに遭遇して、自分も知らない本当の性癖を暴かれたい。
Vol.73,74掲載分については次回の更新で。
そうしたらとりあえずは本誌勢に追いつくので、その次でちょっとまとめた考察っぽいものを上げてみたいなあとか考えてます。いつになるかは分からんけど。
ではでは。