ダンジョン飯備忘録:その2(~単行本8巻)
この記事何?
一度『ダンジョン飯』を8巻まで読み終わった私が、9巻の発売に際して本誌派になるにあたり、思考を整理するために単行本を読み返してひたすら記録や他愛もない感想をつけていく記事です。あくまで備忘録であり、考察のための下書きのようなものです。
要所要所でメモ書きのような考えは書いてありますが……
Part2の今回は、単行本5~8巻の内容を書いています。これから読みたいって人にはネタバレしかないので注意してください。
第29話「炎竜7」・第30話「良薬」
チルチャック……いい回だよね。かくしてライオス一行は一度地上に戻って体勢を立て直すことに。
狂乱の魔術師とのエンカウント
- 古代魔術を使うこの褐色エルフが狂乱の魔術師、ということでいいのだろうか
- デルガル王に対して忠誠を誓い、竜に命じてその行方を追っていた。
- 古代魔術によって生成されたものに対して解除を施すマルシル凄い……狂乱の魔術師もちょっと驚いてたっぽいし。
狂乱の魔術師について
オークの間では褐色エルフの魔術師として認識されている。
- 「迷宮の外の者が必要以上に迷宮に干渉すると奴は現れる」
- 「魔物を作り自在に操り 地形を変え 本をめくるだけであらゆる生き物を殺す」(いずれも40頁)
→迷宮では最上位の存在として認識していいレベルで強いやんけ。そして、本(魔導書?)が彼女の強さのカギなのか。
霊たちと狂乱の魔術師の関係
- 狂乱の魔術師は霊たちに対して高圧的でもなく、しかしながら少し上の立場から接している印象。友好的?
- しかし、そうなると狂乱の魔術師がしかけた罠からライオス一行を助けたっぽい霊たちの意図が分からぬ。
第31話「シーサーペント 前編」
「はやく迷宮の呪いを解かなくては」「この世に魔物や迷宮は不要だ」(83頁)
カブル―の目的
蘇生屋とのやり取りや、その後のリンとのやり取りを通じて、彼の目的みたいなものが見えてきた。それは、迷宮を無くすこと。魔物のおかげで村が荒廃するようなことを避けたいっていうのはカブル―の過去にかかわりがありそう。
それにしても、やはり島主はなんも考えてないのか……(笑)
第32話「シーサーペント 後編」
カブル―がシュロー一行にエンカウントする回。そして、ライオスパーティーの面々の過去も明かされています。
- 「魔術学校を出た人間なんてここじゃ稀だ ましてやエルフだなんて」(91頁)とカブル―が述べている。魔術はダンジョンで必要な技術のように思えるが、扱える人材が不足しているのか、はたまた魔術学校以外で魔術を覚えるものが多いのか。
- ナマリは武器屋の娘。父親は多額の着服がバレ、他のドワーフまで島主の不興を買うことに。
- トーデン兄妹の「人間に興味ない」というパーソナリティを彼は見抜いていたんですね。これは凄いと思う。人間観察に長けているのかな。
第33話「ドライアド」・第34話「コカトリス」
「迷宮が動いて形を変えてる」(115頁)
ライオスが魔法を習って実践する回。
やはり、センシの中でチルチャックは子供判定なのね。
第35話「掃除屋」
ライオスに助言をする霊たち霊たちの立場が相変わらずよく分からん。そして、ダンジョンクリーナーという存在が登場。
ダンジョンクリーナーについて
- 迷宮の自己修復機能を担っている。「経年劣化や細かな傷まで再現」(182頁)するということは、「ある時点での迷宮の姿」を保存しているということに他ならない。ただ一方で迷宮は常に変化し続けてもいるので、狂乱の魔術師による変化の方が、ダンジョンクリーナーの担保する同一性を上書きできる構造になっているのだろうか。root持ちみたいな。
- 生物なのかはよく分からないとのこと。
ここまでが5巻。
第36話「みりん干し」~第38話「キメラ」
ファリンがキメラになっちゃってたよ。
カブル―について
- 7頁、リンを視線で黙らせるカブル―はマジで底知れない怖さを感じる。
- 一方で、魔物食をがんばって食べるカブル―に対して、カブル―隊の面々は「人の懐に入るためならなんでもする男」と評しているので、カブル―が裏のある人間だと理解した上で組んでいるってことですよね。利害の一致、もっといえば「迷宮の解決」という目的の一致でパーティーを組んでいる感じなのかな。
- そして、彼にとってのライオスが、彼の目的と衝突しそうな存在としての認識に改まった。これは今後の展開にも影響しそう。
第39話「シェイプシフター -1- 」・第40話「シェイプシフター -2-」
地上へ戻るわけにもいかなくなり、方針を転換したライオスたちは、第6階層へ到達。
道すがらでライオスとマルシルが今後の方針について話してますが、狂乱の魔術師に対して「王はすでに滅んだことを伝えれば、矛を収めてファリンも元に戻してくれるのでは?」と思うのは楽観が過ぎるような気もする。
ま、それ以外にもこの回はいろいろと興味深いですよね。
ライオスについて
お前どんだけ人間に興味ないんだよ……と思いつつも、
- 魔物との距離感という独自の物差しで測る→信頼に足る判断基準がある
- 事態の解決は自分のフィールドで行う→相手の土俵で無理に戦って負ける、という事を回避できる柔軟な戦略眼
つまりデキる人間として、私には映りました。
第41話「山姥」
イヅツミ加入エピソード。
黒魔術について
- ナチュラルな獣人もいるが、イヅツミは、黒魔術によって人と獣の魂を混ぜて人工的に作られた獣人
- ふたつの魂が混ざり合っていて分離できない。ファリンも似たような状況
第42話「夢魔」
- 種族による寿命差は結構定番だけどそれだけにくるものがあるな。
- ちっちゃいころのマルシル可愛いですね。
ここまでが6巻。
第43話「アイスゴーレム」・第44話「バロメッツ」
イヅツミ馴染んでくエピソード。41話から4話にわたってやってると考えると、結構時間割いてる印象があるな。
第45話「卵」
地上に帰還したシュロ―一行。しかしそこには西のエルフ達の姿が――
西のエルフ達、初登場の回ですね。
カブル―の過去・思惑
彼の過去についてもそこそこ詳しく述べられ始めましたね。
- ウタヤという故郷の町が迷宮の出現によって栄え、そして魔物によって滅ぼされたこと。その時以来、エルフのことも信頼していない。
- そのため、迷宮を封じたい。
- ライオスが利己的でないことを知り、利用しようとした。
霊の思惑
- 第29話でライオス一行を助けた霊とようやく意思疎通が開始。
- この終わり方、つまり次回で思惑が分かるってことですね
第46話「黄金郷」
デルガル王と、その孫ヤアド
- 狂乱の魔術師はヤアドほか黄金郷の住人全員に不老不死の呪縛をかけている。
- デルガル王はそれに責任を感じていた。
- 守り神である翼獅子は迷宮の奥底に封印されているが、夢を介して予言を届ける。
→そういえば、今までも迷宮の壁とかに翼獅子をかたどった彫刻がちょくちょくありましたね。
魔術研究と、その禁忌について
- 古代文字に対してマルシルが「最近はもうなんでも検閲検閲で……」(106頁)と言っている
→魔術学校では古代文字は古代魔術、すなわち「黒魔術」に関わるものとして一部隠匿されていたのかも。
狂乱の魔術師との対決について
ヤアドはライオスに対し、狂乱の魔術師を打ち倒し、自分たちを解放してくれるように頼みます。
返事を保留したライオスに対し、センシは
「わしは以前お前がオークの族長に言った言葉憶えているぞ」
と言いました。
第9話のラストで、
「これからはこの迷宮を手に入れるということを よく考えながら探索しよう」
という言葉がありましたが、そのことを指しているのでしょう。
……どうするのかね。
第47話「グリフィン」~第49話「グリフィンのスープ」
センシの過去編。この回は初見の時にも胸に来たなあ。
狂乱の魔術師について
- 城に来たのはヤアドの曽祖父の代
- 魔術を始めたのはデルガル王の勧め。
- 力に傾倒して闇落ち。
センシについて
- 以前もちらりと言っていたが、坑夫だった。
- ドワーフにとってこの迷宮は既知の場所だった。
- 迷宮についての基礎的な知識は坑夫時代に、発展的な知識や、オークとのつながりは、地上への帰還までの経験で手に入れたもの
ついでにチルチャックが妻子持ちだということが判明しましたね……
ここまでが7巻。
第50話「ダンプリング -1-」・第51話「ダンプリング -2-」
種族ごとの違い
第52話「ベーコンエッグ」
扉絵は現ライオスパーティーの面々の過去の食卓ですね。イヅツミがネギを押し付けてる……
あと、斜行エレベーターかケーブルカーと思しき乗り物が出てきましたね。この二つの違いが未だによく理解できてないんだけども、基本的な構造から違うのかね。
そして、ライオスパーティーの今後の方針として
「有翼の獅子を解放する」→「狂乱の魔術師を倒す」→「ファリンの竜部分を一緒に食べてくれる仲間を探す」
という手順でファリンを助けることが決定……いや凄いなこの字面。
第53話「地下1階にて -1-」~第55話「地下1階にて -3-」
カナリア隊と狂乱の魔術師のエンカウント。
迷宮の仕組みについて
54話の扉絵曰く
- 人に発見される。金があるので人が寄り付く。
- 人の欲望を焚き付け、大きくなる。段々と深層に誘うように。
- 再び浅い層でも実入りがよくなるように
- やがて魔物を爆発的に増加させ、溢れ出させる
という流れがあるようで、カブル―の故郷、ウタヤも同様に迷宮から魔物が溢れて滅んだみたいですね。
カナリア隊について
- 半数は古代魔術に関連した罪人の集まり。誰が指揮権を持っているのかは不明。
- 隊長……冷徹な感じ。やたら手際よく迷宮の仕組みを利用しているように見える。場数踏んでるからでしょうかね。
- パッタドル……長髪、気弱? 結界を張るのが得意?
- オッタ……足場を作ってた人。
狂乱の魔術師が本を手にした時のリアクション(151頁)からしても、やはり古代魔術に明るい集団というのは本当っぽいですね。
カブル―の行動
エルフが、圧倒的な手際の良さで迷宮の問題を解決しようとしている。そんな状況を前にしてしかし、彼はエルフを止めました。やはり根底にあるのは黒魔術を、迷宮についての謎を独占するエルフの不信なのですかね。
第56話
チルチャックの奥さんがかわいい。めちゃくちゃかわいい。そして、チルチャックの口の悪さに対しマルシルが理性的に反論してたのがちょっと面白かった。さすがは才女……
ここまでが8巻。
読み返した感想~Part2
- Part1を4巻で区切ったのはたまたまだったけど、割といい感じの切れ目でしたね。一方で8巻までで区切った今回はちょっと微妙な感じ。まあ時期的なもの(9巻発売はこの記事を書いた2日前)があるのでご勘弁を~
- Part2で紹介した部分では、「黄金郷」での霊たちとの交わりで、狂乱の魔術師の解像度が上がったこと、そして「カナリア隊」をはじめとする西のエルフ達の介入が大きかった。話がスケールアップしつつ動いている感じがする。
- チェンジリングめっちゃ楽しい。
単行本9巻掲載分と、Vol.73,74掲載分については次回の更新で。
そうしたらとりあえずは本誌勢に追いつくので、その次でちょっとまとめた考察っぽいものを上げてみたいなあとか考えてます。いつになるかは分からんけど。
ではでは。